――まだまだ多くの企業が、ビッグデータ分析の価値をイメージできていないようだ。
その通りで、実際にはまだそのステップには行っていないと感じています。ただ、テレビドラマの解析にTwitterやブログのデータの組み合わせが必要であるように、ソーシャルメディアのデータと、下記業種のデータの連携がカギになると思います。金融にソーシャルデータを組み合わせると自動トレーディングの仕組みができる。われわれも、ソーシャルデータと観光を組み合わせて、毎週「中国トレンドエクスプレス」というものを出しています。
これは訪日中国人の購買行動をソーシャルデータから分析しているのですが、中国人が急増している県は千葉と石川なんです。千葉県では成田空港や、九十九里浜、鴨川市のテーマパーク。石川県では兼六園や山中温泉を目当てにしている。
一方で、UNIQLOはファッション、ビックカメラは家電のビッグデータを持っていますが、それらを串刺しにはできない。でも、ソーシャルデータと業界を結びつけるのは重要なファーストステップです。
ネットと家電の情報を組み合わせて「価格ドットコム」、インターネットとレストランの口コミを組み合わせて「食べログ」など、ソーシャルデータと業界のデータを組み合わせることは価値が出やすい。
多くの企業の情シスは、やはり経営者から「うちの会社もビッグデータを使って何かやれ」と言われていると思います。ビッグデータを活用するためには、データを取得する、保存する、分析する、アプリケーションにする、活用すると、複数のレイヤが必要です。でも実際には、ビッグデータを手に入れたら取り組みがストップしてしまいます。理由は繰り返しになりますが、統合する前提で作られていないシステムやデータを集めて統合しようとしているからです。
そうならないためには、まずは活用しやすいソーシャルデータから始めることです。そして情シスが、自社のユーザー、競合のユーザー、潜在ユーザー、商品やサービスを購入したユーザーの、すべてのデータが入手できると、マーケティングの部署に働きかけます。生データはAPIですぐに手に入るので、自分たちで好きなように加工できます。そこのコストをかけたくなければ、ノウハウを持つ業者に依頼すればいいわけです。
――これから5年後、2020年にはホットリンクはどんなことをしているか。
まずひとつは、グローバルのソーシャルビッグデータ流通の世界ナンバーワンになってること。もうひとつは、流通させるだけでなく、そのデータを使って価値に変換する部分でいうと、最終的な売り上げが1000億になるような事業を立ち上げて、2020年の段階では売り上げ100億ぐらいになっている状態を目指しています。
それは例えば、中国のインバウンド消費に向けた活用などであると考えています。今は単なるレポート事業ですが、あくまでドアノックツールであり、インバウンドをビジネスにしたい人たちに働きかけています。状況を把握しなければならない中で、いろいろなニーズが出てきます。それをビッグデータ解析でさまざまなサービスに変えていく。
今は訪日中国人を分析していますが、中国人はタイにも行ってますし、マカオにも行ってます。同じ分析を他の国を対象に中国人のスタッフがやるだけで、海外向けのサービスができますよね。このように、グローバルなデータを価値に変えるような事業を立ち上げるのが目標です。