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ものづくり企業としての使命がある--日本オラクル杉原社長 - (page 3)

末岡洋子 怒賀新也 (編集部)

2015-12-03 07:00

――売り上げに占めるクラウドの比率は今後どのぐらいになっていく予想か?

 Open WorldでMark Hurdが2025年の予測を立てましたが、その中にIT投資のうちの3割が費やされている開発テストが100%クラウドになると述べました。この予測に基づけば、10年のスパンで見たとき、日本でも3割ぐらいがクラウドになってもいいのかもしれません。

――OOWでは”IBM、SAPは敵ではない”というEllison氏の発言があった。この発言の意図は?

 自分たちを鼓舞するために言っているのではないでしょうか。他のベンダーに対して「しっかりしろよ」という意図があるのかもしれません。つまり、われわれの競合は(AWSなどを含めて)これまでとは違う次元の企業になってきており、これまでずっと好敵手であるSAPやIBMに”がんばろうぜ”という意味合いではないかと思っています。

 なぜ”敵じゃない”か――われわれは10年以上かけてクラウドネイティブになるようにコードを書き換えました。パブリッククラウドで使いながらもオンプレでも使えるためには同じアーキテクチャが必要です。Oracleは苦労してその作業を実施しました。では、他社はどう――クラウドになったときに弊害が出てくるのでは、互換性や相互運用性はどうなのか、という意味で”敵じゃない”という言葉になったのでしょう。

 業界を見ると、クラウドではものづくりのパワーのようなものが薄れてきている。野球に例えると、セリーグ、パリーグの球団数が少なくなってきて、新しい球団が入ってきているが、ものづくりはしていません。ものを作ったことのないところとの戦いになります。

HP出身の杉原氏。HPの分社化とDellによるEMC買収に触れ、(宿命の)ライバル同士が、小回りをきかせるために組織を小さくする、競合他社を吸収合併にして組織として巨大化するという意味で、正反対の戦略を打ち出したことに着目しているという。どちらが正しかったのか、10年後に注目したいと話した。
HP出身の杉原氏。HPの分社化とDellによるEMC買収に触れ、(宿命の)ライバル同士が、小回りをきかせるために組織を小さくする、競合他社を買収して巨大化するという意味で、正反対の戦略を打ち出したと指摘。どちらが正しかったのか、10年後にわかるだろうと話した。

――国内ではマイナンバー制などのトピックがありますが、注目していることは?

 マイナンバー、TPP、集団的自衛権の行使とか、日本がこれから進んでいこうとする方向性では、セキュリティが密接に関連しているように思います。鎖国からオープンになり、世界で活躍できるようにしていこうという動きでしょう。半分が悪いだ人と想定すれば、日本に来るサイバーアタックはすごい量になります。日本は世界第3位のGDPで米国の同盟国です。セキュリティはどうするのか疑問です。

 もしAWSができないのならOracleがやらないといけない。セキュリティを強化したテクノロジを提供していくこと、セキュリティを強化したクラウドを提供していくことはOracleの使命だと思っています。

――IoTにより、これまでITが入っていなかった産業にITが入る。そう考えると、IT市場は大きくなると考えることができる。

 ITの市場は大きくなるが、これまで部品だったものがクラウドという提供方法を取ることにより、総合的なソリューションが求められていくと思います。部品は何でもいいので、どんなソリューションが提供できるのかに視点がシフトしていくでしょう。

 魚料理に例えると、昔は魚を買ってきて家で3枚におろして料理していたが、現代は、調理していたもの、加工されたものを買うようになったということでしょう。一方で、これは一極集中を招きかねないので、Oracleを応援してほしいですね。

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