落合氏:三井住友フィナンシャルグループも、2016年のハッカソンでAPIを出されていましたよね。
平手氏:そうですね。API公開ではEUが先行しており、日本でも追随する動きが出てくると仮定し、2016年の秋ぐらいにプロトタイプAPIを使ったハッカソンを実施しました。
銀行の残高照会だったり、クレジットカードの利用情報取得といったAPIを用意して、開発者の方にサービス開発を競っていただいたのです。
プレスリリースを発表しましたが、三井住友銀行は3月から法人向けのAPI接続サービスを開始し、7月予定で個人向けAPIも提供していく予定ですので、それらの実用化が今年度、本格的に進んでいくのかなと見ています。

三井住友フィナンシャルグループ ITイノベーション推進部部長代理 平手佑季氏
落合氏:続けて、平手さんがご担当されているところについても簡単にお願いします。
この2年での環境変化
平手氏:皆さんスタートアップとの連携や、大手IT企業、異業種の大企業の連携も含めて進められていますが、当社も例に漏れず、それらは力を入れて進めています。
また、国内の会社に限らず、海外のアクセラレーターとの連携やVCに出資をしていて、海外のスタートアップの情報収集をしたり、提携先を探しているというのも、当社が進めているFinTechの取り組みの一つです。
そのなかで私自身は、どちらかというとサービス開発を担当しております。FinTechは技術ドリブンのことが多いので、ブロックチェーンやIoT、AI、APIといった技術のPoCや実証実験に部として取り組んでいる中、私はIoTに関するサービス開発を行っており、ビッグデータやAPIと絡めてできることなどを考えています。
まだ、具体的には申し上げられないんですけれども、そういったサービスを開発しています。
落合氏:気になりますね(笑)楽しみにしています。大平さんは、メガバンクが取り組まれている様子を見て、どう感じられますか。
大平氏:素晴らしい取り組みだなと思って、拝見しています。私は2015年くらいにベンチャー企業を回って、ベンチャー企業と一緒に銀行側をノックするということをしていたのですが、その頃はイノベーション部署もできておらず、ベンチャーを紹介しようにも受付口がない状況が続いてました。
当時、とある銀行さんが仰ったのは、「大平さん、われわれは最速のナンバーワンを目指しているのではないのです。最速のナンバー2を目指しているのです」ということでした。驚きました。そこにメガバンクの取り組みがあり風穴があいて、それからは「最速のナンバー2」とおっしゃっていた通りで、他の銀行も含めていろいろなプレイヤーが入ってきました。
ベンチャー企業からすると、多くの受け皿ができて当然良いですし、必ずしもFinTechベンチャーと銀行が組むのではなく、FinTech以外のベンチャーと銀行が組んで、新しい金融サービスを作っていく方が、文脈としては正しいかもしれないという肌感です。
このメガ3行の動きは、業界においてもすごく貴重だと思っています。
<第2回へ続く>