三度旅行の例で説明すると、旅行に行くつもりがないユーザーを沖縄旅行に行かせるように気持ちを変化させるためには、何らかの形で沖縄の素晴らしさをユーザーに伝える必要がある。
テレビであれば、ある番組を視聴している以上、そこで放送されるコンテンツを視聴者は必ず見ることになるため、旅行に全く関心がない人でも、意図せずに沖縄旅行の情報に触れるということが起こり得る。
他方ネットメディアは、Cookieなどからユーザーの関心が高いと推測される情報を優先して提供する方向に進化してきた。なぜなら記事の見出しや動画のサムネイルまでは表示できても、それをクリックしてコンテンツを閲覧するかはユーザーに委ねられているためだ。
ユーザーの関心が低いコンテンツはそもそも閲覧される可能性が低い。ユーザーに閲覧されなければ広告収入などが得られないため、ネットメディアはユーザーの関心を引くコンテンツの提供に注力することになる。
ところが、最近になってこうした傾向に一石を投じる動きが出てきた。少なくともその時点ではユーザーが関心を持っていない情報であっても自然な形で画面に表示させ、それを閲覧しても広告目的であったと不信感を抱かせないコンテンツ(広告のクリエイティブ)が登場しつつある。
背景にあるのは、「インフィード広告」と「データに基づくコンテンツ制作」である。
インフィード広告とは、Facebookやキュレーションアプリなどで、ユーザーの投稿や記事と一見同じように表示される広告のことである。もちろん、ちゃんと広告と分かるように「広告」という言葉が表示されている。
ただし、他のコンテンツと同じように表示されるため、ユーザーは通常のコンテンツを見る感覚で閲覧する可能性がある。
とはいえ、広告目的の質が低いコンテンツと認識されてはユーザーの不信を買うため、ユーザーが満足する質の高いコンテンツが提供されるようになってきた。
ネットにおける質の高いコンテンツとは、ビジネス上のKPI(Key Performance Indicator)を達成するコンテンツである。そして、そのためにデータ分析に基づきコンテンツを制作、改善するようになってきた。
ソーシャルゲーム業界では、ユーザーがゲームを継続して遊び、課金を促すためにゲームを改善するのは当然である。動画においてもNetflixがデータ分析に基づきコンテンツを制作し、多くの新規会員を獲得したことが話題となった。
最近では、ネットメディアの記事やネット広告のクリエイティブおいても、同様の動きが広がりつつある。
インフィード広告であっても、ユーザーが閲覧した結果、何らかのコンバージョンを達成するのであれば、ユーザーはその広告に満足し、実際の購買行動などを起こすまでに「気持ちを変化」したと評価できる。
ウェブでユーザーの「気持ちを変化」させることができるならば、金融に関心がないユーザーに資産運用の重要性を理解してもらい、ロボアドバイザーの口座を開設して資産運用に取り組もうという気持ちになってもらうことも十分に可能だろう。