Microsoftは、「Windows 10」の次のバージョンで人工知能(AI)と機械学習をサポートすると発表した。しかし同社は、マーケティングのための口上を抜きにして、AIと機械学習の処理をクラウド上のオープンソースソフトウェアが支えていることをよく理解している。これが、米カリフォルニア州ソノマで開催されたThe Linux Foundation主催の「Open Open Source Leadership Summit」でMicrosoft Azureの最高技術責任者(CTO)Mark Russinovich氏が発したメッセージだ。
Russinovich氏の講演は、次のように始まった。
AIの技術と技法はルネッサンスを迎えている。オープンソースのテクノロジとコミュニティは、ライブラリやフレームワークを提供することによって、機械学習について自力で学ぶ開発者を育ててきた。クラウドのコンピューティング能力は、高い費用対効果で大規模なデータセットを処理することを可能にし、一般的にした。今後研究が進み、その成果がコミュニティで共有されるにつれて、インテリジェントなアプリが増え、あらゆる処理プラットフォームで、これまで以上にオープンソース技術の導入が進むだろう。
同氏は、Microsoftが顧客へのソリューション提供にクラウドとオープンソースを使っている具体的な例を2つ挙げた。第1の例は、機械学習を使って摩耗や亀裂を調べているRolles-Royceの航空エンジンだ。このデータは、エンジンの事前メンテナンスのために、AIでも使用されている。
また同社は、クラウドとオープンソースの組み合わせを用いて、インテリジェントな疾患予測アーキテクチャを実現しようとしている。これはベータ段階のプログラムで、最初の事例として、米国立衛生研究所(NIH)の胸部X線データリポジトリのX線画像を調べるために使われている。生成されたデータは、オープンソースの機械学習やAI分析プログラムにフィードできる。「Core ML」やGoogleの「TensorFlow」、そして「Azure Machine Learning」とともに「ONNX」などが活用できる。最終的な目標は、ウェブインタフェースを使って肺炎を診断できるプログラムだという。
このような仕組みが必要なのは、放射線科医よりもX線検査装置の方が多いためだ。米国だけでも5万人以上の子どもが肺炎で亡くなっており、この病気を素早く診断するのを支援できるツールがあれば役に立つ。