これからBPMに取り組む企業へのアドバイス
今回紹介した各製品を提供するベンダーにBPMに取り組む際のポイントを聞いてみた。
ビトリア・テクノロジー代表取締役社長の早瀬勝氏は、「一方通行のウォーターフォールのようなやり方ではなく、何度かレビューし、一度固定したプロセスを作り直せることがBPMのメリット。企業の業務は時間と共に変化し続ける。『どうせ変わるもの』だということを前提に取り組みをスタートすべきだ」と語る。
また、「オフショアやSaaSなどの外部利用が進む中、IT部門の存在価値は自社業務をどれだけ知り尽くしているかだ」と言うのは、SAPジャパン、ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部でビジネス推進部BPPグループのグループマネージャーを務める神沢正氏である。「業務プロセスを自社の資産として可視化し、どの部分にボトルネックがあるのかを知ることが不可欠。そのためにはBPMの価値を理解し、取り組む必要がある」と述べる。
日商エレクトロニクスのエンタープライズ事業本部で第二営業統括部の統括部長を務める藤間敏之氏は、「さまざまなベンダーが入り乱れて、システム間連携のコストが高くなり不安定になりつつある。それらを統一して全体の最適化とコストダウンを図るのがBPMの考え方。新しい取り組みに積極的に関与していこうという気構えさえあれば大丈夫」とエールを送る。
この連載で、これまで繰り返し述べてきたように、BPMとは「IT製品」を入れることで自動的に完成するものではない。企業の中でBPMを回していくためには、まず自社の業務を分析した上で可視化し、プロセスを組み、実行し、その結果を測定して、さらに洗練していくというサイクルが必須だ。
自社のニーズやBPMの成熟度に合わせて、今回紹介したようなBPMSを活用することで、改善のサイクルを速め、変化への対応力を向上させることができる。BPMへ取り組むにあたっては、自分たちにとって、どんな特徴を持ったツールを使うのが最も効果的かについても十分に検討をすべきだろう。