アップル対サムスン裁判--海外アナリストの見方は

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2012-09-05 07:30

 Appleのサムスンに対する特許訴訟での勝利は、「重要かつ象徴的な勝利」というものから、「かなり踏み込んだ意味合いを持つ」、「スマートフォン市場を大きく変える可能性は低い」というものまで、さまざまな反応を引き起こした。

 米国時間8月24日、陪審員団はサムスンがAppleの特許を意図的に侵害し、Appleが10億5000万ドルの損害を被ったと認めた。Appleは現在、複数のサムスン製品の販売差し止め命令を要求している。サムスンは異議を申し立てる見込みだ。

 Appleの訴訟はサムスンに焦点を当てていたが、これは本当は「Android」に関する裁判だった。Appleがなぜ直接Googleを訴えていないのかは明らかではないが、「iOS」とAndroidの間の特許問題について考えれば、両者は訴訟の準備をすべきだ。

 この記事では、この特許訴訟についてのアナリストの意見と、それらの意見に対する筆者の見方を紹介する。

 Appleに関して強気の見方をしているPiper JaffrayのアナリストGene Munster氏は、今回の勝利にあまり重きを置いていない。同氏は次のように述べている。

 サムスンはデバイスのソフトウェアを修正し、問題になった特許で保護されているソフトウェア機能を迂回して機能するようにする可能性が高い。意匠を侵害しているデバイスに関しては、米国ではもう販売されないかもしれない。しかし、「GALAXY S III」をはじめとする新しいデバイスには影響がないようだ。結局、米国でのデバイス販売に関して言えば、サムスンには重大な中断はなく、軽微な中断しか起きない可能性が高いとわれわれは考えている。また、サムスンの判例を受けて、今後のAppleと他の携帯メーカーとの間の訴訟は和解に向かう可能性が強い。それらの訴訟で、競争の結果としてもっとも可能性が高いのは、(金銭的なやりとりを別にすれば)ソフトウェアの変更だと考えられる。われわれは、今後の和解がAndroidに重大な形で悪影響を及ぼすとは考えていない。

 筆者の見解:Munster氏の意見は正確だ。GALAXY S IIIが対象にならない限り、サムスンの特許侵害による損害は管理可能な範囲に留まる。Appleが中国のような新興成長市場でAndroidを止める方法を見つけない限り、Androidの進歩は続くだろう。

 Morgan StanleyのアナリストKaty Huberty氏は、今回の特許訴訟でAppleの「iPhone」の市場シェアは上昇すると考えている。同氏は次のように述べている。

 陪審員団がAppleに認めた10億5000万ドルの損害は、Appleが持つ1200億ドル近くの現金および投資額に比べれば大きなものではない。われわれの見方では、Appleにとってのより大きな勝利は、他のスマートフォンメーカーが製品サイクルを遅らせ、Apple製品と比較して独立したデザインになるようにソフトウェアとハードウェアを変更することを強いられた場合の競争上の悪影響だ。

 筆者の見解:Huberty氏の意見は行きすぎだろう。iPhoneに関しては、Appleの製品サイクルは単純で、1年に1回だ。 Androidデバイスのメーカーが、(仮にソフトウェアの変更が必要になったとしても)Appleよりも遅いペースでデバイスをリリースするようになる可能性は極めて低い。

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