事務所での意思決定は危険
スマートフォンの普及は、事業のスピードアップを促す可能性を秘めている。顧客と直接対面している時間に要望にあった製品やサービスを提供できる体制にあるのを見せることで、顧客の購入意思をより固くできるからだ。このことから、最も危険な意思決定は「事務所で意思決定すること」(Benioff氏)だという。「大切なのは顧客の目の前で決定する」ことだ。
ここで必要とされるのが、営業部門などがこなす業務で必要とされる情報を表示するためのモバイルアプリであり、そのモバイルアプリをいかに迅速に現場に提供できるかということだ。こうした流れで提供されるのが、モバイルアプリを開発するためのPaaSであるSalesforce1 Lightningだ。このサービスは、従来のSalesforce1を補完するためという位置付けと表現できる。
Salesforce.com 共同創業者 Parker Harris氏。着ているのは“Lightning(稲妻)”をあしらったオーダーメイドのヒーロースーツ
「LightningはSalesforce1を正当化する」(Salesforce共同創業者であるParker Harris氏)
Salesforce1 Lightningは、「Lightning Components」「Lightning Framework」「Lightning App Builder」「Lightning Process Builder」「Lightning Community Designer」「Lightning Schema Builder」という6つのツールで構成される。
Lightning Componentsは、事前に用意されたリストやチャート描画、検索などの部品だ。Salesforceが開発したものもあれば、パートナー企業が開発したものもある。Lightningのユーザーは、この部品を組み合わせることでコードを書くことなくモバイルアプリを構成できる(ユーザー企業自ら部品を作ることもできる)。
必要とされる部品で構成されたモバイルアプリを、どのモバイル端末でも統一された見た目と使いやすさを保つのが、Lightning Frameworkの役目だ。Frameworkはユーザーエクスペリエンス(UX)を高めることも狙っている。Frameworkは、iPhoneと「iPad」で画面の大きさなどフォームファクタが違っても自動的にあわせることができるという。
Lightning Componentsを使わなくてもクリックなどでモバイルアプリを開発できるツールとなるのがLightning App Builderだ。IT部門はもちろん、ユーザー部門でも開発できると説明する。
Lightning Process Builderは、ワークフローやビジネスプロセスを作って業務に活用できるようにするためのものだ。メールでのリマインダー、取引条件から起因する異なる価格体系の確認などのプロセスをより効率化できるという。
Lightning Community Designerは、対顧客や対パートナー、あるいは従業員間などの限定されたステークホルダーとのコミュニケーションの流れなどをモバイルアプリに組み込むためのツールになる。Lightning Schema Builderは、モバイルアプリに使うためのデータ間の関係のスキーマ構築をより効率化できるとし、コードを書くことなく迅速にスキーマを再構築できるとしている。
Lightning FrameworkとLightning Schema BuilderはすでにSalesforce1の一部分として利用できる。Lightning Componentsは現在ベータ版であり、正式版は2015年2月を予定している。Lightning App Builderは2015年2月にベータ版を予定。Lightning Process Builderは、2015年2月に利用できる予定。Lightning Community Designerは現在ベータ版であり、正式版は2015年2月を予定している。