ネットワンシステムズ(ネットワン)は、ネットワーク構築を中心に展開している企業である。情報インフラを最適化することで戦略的な情報活用を促進し、エンドユーザーまでを見据えて貢献している。今回は、同社の代表取締役社長執行役員である吉野孝行氏に、同社の取り組みや特徴、今後のことなどについて聞いた。
――ネットワンシステムズはどんな事業を展開しているのか。
ネットワンシステムズ代表取締役社長執行役員 吉野孝行氏
これまでを振り返ると、その時代によって提供している事業が異なります。ネットワンシステムズは27年の歴史の中で、3回の変革がありました。ネットワークでビジネスをするというスタンスは変わらないのですが、使い方が変わるポイントが3回あったのです。最初の8~10年は、俗にいうPC-LANや企業内のCAMPUSネットワーク、ローカルエリアネットワークの事業が基幹となっていました。
次の7~8年、1993年から電話線を使ったインターネットが始まって、メール中心の活用が増え、日本でもインターネットという言葉が一般的になり始めました。その頂点が2003年からの3年間ほど、NTT東日本が「フレッツサービス」を開始したことです。国内で初めて、100%IPを使ったインターネットサービスでした。それからテレコムキャリアが3G、4Gに大きな設備投資をしていくまでが第2の変革でした。
ただ、ネットワンとしてはテレコムキャリアのインターネット構築の支援を10年ほどしましたが、テレコムキャリアであるNTTやKDDI、ソフトバンクの業績を伸ばすというところには、あまり貢献できていませんでした。そういう意味では、5年ほど前から仮想化データセンターという第3の変革が始まりました。
当時は、ある建屋内のデータセンターを仮想化するというものでしたが、現在ではクラウドとして、最終的にエンドユーザーまで仮想化環境を作って、活用の手段まで提供するようになっています。ここではテレコムキャリアに対して販売代理店の立場で再販するお手伝いをしております。
――今ネットワンが最も注力していることは。
クラウド環境の構築です。従来のコンピュータシステムは、業務アプリケーションに沿って人事や会計、営業といったシステムを作ってきたという歴史的な背景があります。これは製造メーカにとっては、それぞれ個別に作るので金額も高くなり、また業務アプリケーションからコンピュータ、ネットワークまで一括で請け負うため、ベンダーロックをかけることも可能でした。
しかしクラウドでは、アプリケーションとそれを動かす基盤を水平分離していこうという動きが、地方公共団体など国のシステムを含めてあるのが現状です。官公庁や自治体、企業においても、システムを自前の設備から共通基盤に移行し、業務アプリケーションだけを個別に乗せるという動きが一気に始まっています。そういう中でネットワンがこれまでやってきた仮想化環境を含めたシステムの構築が大きく貢献できると考えています。