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「爆買い」中国人観光客が「iPhoneでお買い物」する日は来るか

三国大洋

2015-12-20 11:57

 日本ではまだ利用できない「Apple Pay」(iPhoneやiPadを使った非接触型決済サービスの仕組み)に関するニュースが、少し前からまた目立ってきている。

 11月24日に「来年2月の旧正月にあわせて、Appleが中国で『Apple Pay』を使えるようにするための準備を進めている」という話がWSJで報じられたと思ったら、翌日に今度はBloombergが「『Apple Pay』関連で、Appleが中国のUnionPay(中国銀聯)とPOS端末利用で手を握った」と伝えるといった具合(*1)だ。

 (WSJやBloombergなどを通じて少しづつ話を漏らしていく、投入に向けた地ならしをしていくというのは、アップルが過去に何度も使ってきたやり方だが、いずれも例によって「匿名の関係者の話」とあるから、本当にそうであるか否かは確かめようもない)。

「アップルと中国銀聯との基本合意」は日本の「国内の問題」

 利害の絡む「当事者間の事情」で、Appleが本国で投入したサービスをわれわれ日本のユーザーはなかなか使えないといったことにはすっかり慣れっこになっている。

 また「なくては生活できない」というものもあまりないので、それに対してとやかくいうつもりもないけれど、その一方で日本の「iTune Music Store」でBeyonceの曲を買えるようになるまで、おそらく10年近くかかったことをいまだに忘れていない者としては、そうした矛盾のようなものにどうしても敏感になってしまう。

 さて。日本に来る中国人観光客の経済的な影響力の大きさが、最近よく話題にのぼる。ふだんあまりテレビをみない当方でも「爆買い」という言葉くらいは知っている。

 気になってウェブを調べてみると、「2014年の年間訪日客が合計で約1340万人。そのうち中国人観光客が約240万人」という政府のデータ(*2)や、「今年2月(の旧正月の大型連休中)に来日した中国人観光客の経済効果は推定700億円(副次効果も含めると1000億円超)」といった記事(*3)も見つかる。

 「中国からのお客さんが、上海で売っているのとまったく同じ日本メーカーの化粧品をわざわざ銀座のデパートで買っていく」(「美容部員がしてくれるメイク、そのノウハウが上海では手に入らない」が理由だったか)といった話を聞いて、ずっと昔に感心していたのを思い出すが、近年では状況がすっかり変わっているようだ。

 例えば「爆買い」のおかげで売り上げが2倍以上に増えたラオックスの話(*4)などはいろんなところで記事になっているようだし、また時々目にするNHKテレビの中国語講座(壇蜜が司会を務める教育番組)では「湯河原にある温泉旅館の年輩の番頭さんが、名札の裏につけたアンチョコをみながら『ファンインクァンリン』(「歓迎光臨」)などとやっている姿も流されていたりした(「歓迎光臨」、は「いらっしゃいませ」の意)」。

 「当たり前の企業努力」といってしまえばそれまでだろうが、そうした市井の人々、現場の方々が努力されている姿をみると、どうしても頭の下がる思いがしてしまう。

 また、これも時々目にする中国の映画(中国人向けにつくられた中国の俳優が出演するもの)のなかには、たとえば北海道でロケしたトレンディードラマのようなものや、ホームコメディの山場で沖縄でのシーンが使われていたものもあったりする。ひと言でいえば、中国の人たちにとっては、そうした日本の場所が「憧れの地」なのかという感じも受ける。

 さて。そういう中国人の間で、iPhoneの人気がとくに高いことは、割と以前からよく知られるところ。Tim Cook(AppleのCEO)は先の決算発表で「中国(と香港、台湾)の売上が世界全体の4分の1になった(「どうだ、ワタシが前からいってた通りになっただろう!」)」と話していたはずで(ただし、製品別内訳は未公表)(*5)、また最近では「新型iPhoneが発売になった9月には、中国で新旧あわせて推定700万台のiPhoneが売れていた」といった調査会社のデータも見かけた(*6)。

 また今回Appleと中国銀聯との基本的合意のニュースを伝えた上記のBloomberg記事によると、「Apple Pay」が使えるNFC対応のPOS端末は中国銀聯が小売店などに配っているものだけで、500万台以上もあるというから、「Apple Pay」のサービスが開始されれば利用者がいっきに増える可能性も考えられる(どこまで定着するかどうかは無論まだわからないけれど)。

 「高価なiPhoneを買える消費者」イコール「海外旅行にも出かけられる経済的に比較的豊かな人々」と考えると、「iPhone/Apple Pay」を使い慣れた中国人観光客が日本に来て、ふだんと同じ調子で「お店のレジやホテルのフロントでiPhoneを取り出す」といった姿もわりと簡単に想像がつく。ただし、そこから先が問題――どこまで受け皿が整っているかという疑問がわいてくる。

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