展望2017

IT企業の年頭所感(5)--クラウドコンピューティングに関する5つの予測

ZDNET Japan Staff

2017-01-13 11:29

ベリタステクノロジーズ代表執行役員社長 西村隆行氏

 2016年は、Veritasが情報管理ソリューション企業としてSymantecから独立し、企業として改めて事業を開始した重要な年でした。これまでも、企業が抱えるデータの急増に関する課題と、データ管理に関するリソースに対する課題の解決に注力する事業に重点を置いてきましたが、Veritasは、それをさらに進め、企業が情報の力を活用するための「データ管理戦略」の策定を支援しています。

 具体的には情報保護/管理製品群のバージョンアップを進めるとともに、Google、Microsoft、AWSなどクラウドベンダーとの連携を拡大しました。そして、e-Discovery製品などコンプライアンス順守に対応するためのソリューションの強化などを進めました。

 クラウドコンピューティングは業界のあらゆる分野に広がっています。データが急増し続け、重要な業務をクラウドに移行する企業が増えるにつれて、競争力を保持する上で、クラウドはもはや単なる「オプション」ではなく、開発やイノベーションに対する重要なアプローチの1つとなりました。

 Veritasは、2017年に企業に影響を及ぼすであろうクラウドコンピューティングに関して、以下5つの予測を立てています。

パブリッククラウドへの急速な移行の継続

 2016 年はパブリッククラウドに移行するお客様が急速に増えました。2017年には、その傾向はさらに加速し、採用する企業数もさらに増えることが予想されます。クラウド内の情報量が増えれば、データをより適切に管理して、稼働時間、保護、ガバナンスを維持する必要性が高まります。

 同時に、自社データのもつ意味を理解し、データからより大きな価値を引き出し、競争上の強みとできるようなツールに対する需要が急増するでしょう。

SaaS(Software as a Service)導入の加速

 2017年には、あらゆる規模の企業が自社のクラウドベースやオンプレミスベースの業務とIT戦略の統合を目指し、SaaSの採用を進めるでしょう。こうした大きな流れに対応でき、複雑化するIT環境への移行を支援し、お客様のビジネスパートナーになれるベンダーが2017年に成功するはずです。

競争上の強みとなる情報ガバナンス

 データ保護の強化と統合を目的として、GDPR(欧州一般データ保護規則)などの新しい世界的な規制が2016年に施行されました。2017年には、世界中の企業が大量のデータをクラウドに移行する一方で、世界市場は変化を続けます。新しいクラウドコンピューティングの導入を進めながら、データ保護やプライバシーに関する新しい規制へ対応しなくてはなりません。

 情報ガバナンスツールは、企業にとって必須となるだけでなく、早期に完備しておくことが大きな差別化要因となり、競争上の強みになります。業務上準拠する必要のある規制にいち早く対応し、お客様により堅牢な保護と安心感を、競合他社に先んじて提供できるようにしておくことが重要です。

ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)をはじめとする新技術の増加

 クラウドへの急速な移行は、業務においてストレージが必要なくなることを意味するのではありません。むしろ逆に、企業には稼働時間、費用、対応力といった実際のビジネスニーズに基づいてストレージを総合的に管理できることが求められます。

 2017年には、企業がハードウェア間でストレージを管理するためのターンキー方式のソリューションとして、新世代のSDSが企業のクラウド戦略やオンプレミス戦略の調整や統合を支援していくこととなるでしょう。

ハイパースケール企業との共存

 Amazon、Microsoft、Googleなどのハイパースケール企業は、2017年も継続して自社のクラウド事業に何百億ドルもの資金を投じるでしょう。その結果、膨大な量のデータと多数のワークロードがその上に発生することになり、従来型のハードウェアベンダーやソフトウェアベンダーは、新しいプロセスとの融合を目指し、こうした巨大なハイパースケール企業との共存を求めるようになります。

 企業の投資は、ハイパースケール企業やクラウドとの統合テクノロジへと向かい、そこから停止時間の削減や新たなイノベーション創出といったメリットが生まれてくることでしょう。

 Veritasは、これら2017年にクラウドコンピューティングに関して予測される動向のすべてに対応します。そして引き続き、クラウド、物理環境、そして仮想環境とあらゆる場所に広がるお客様のデータをすべて保護し、管理していくためのソリューションを提供します。

 2016年12月に発表した「360度データ管理ソリューション」は「Veritas NetBackup」を中核として、非構造化データを可視化する「Veritas Information Map」、事業継続を支援する「Veritas Resiliency Platform」、ならびに、コピーデータ管理用の「Veritas Velocity」の3つの機能を統合したソリューションです。

 このソリューションは、データがどこに存在していても、バックアップとリカバリはもちろん、既存の環境のままグローバルに散在するデータを可視化し、ビジネス継続性と回復力を高め、コピーデータの統合管理を実現します。これにより、企業は最も重要な資産であるデータを保護、管理、活用することができるようになります。

 この新しいソリューションは、リスクを軽減し、アプリケーションのサービスレベルを確保するとともに、規制コンプライアンス要求への適合を支援し、データから新しい価値を引き出します。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

  4. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  5. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]