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業務ソフトウェアの販売モデルを変えていく--SAPの最高デジタル責任者 - (page 2)

末岡洋子

2017-02-02 07:30

 SAP StoreのマーケティングはSEO、ナーチャリング、などのデジタルマーケティングテクニックを通じて、ソリューションを探すエンドユーザーにリーチを図っている。また、SAP DigitalはSAPが全社的に顧客に打ち出している”デジタルトランスフォーメーション”の推進役として、毎年200人ものCレベルの幹部にも会っているとのことだ。

 リーチ拡大という点では結果が出ているようだ。SAP Storeは230の国や地域で展開しており、つい最近もこれまでSAPが取引をしたことのない国からの注文があったという。

 2015年通年で約1万件だったという購入件数は、2016年10月末時点で約90カ国、2万件を超えるなど倍増以上のペースで伸びている。このうち日本から約1万件の購入があったとのことだ。

 SAP Store以外にも、アプリ内課金などのデジタルコマース機能がある。トライアルなど一定期間を利用したあとで製品内に「Buy Now」ボタンを押すと、その場でアップグレードされるような機能もSAP Digitalの仕組みを使う。

 シャドーITの動きに対するSAPの回答となるのか、あるいは対抗策となるのか――聞いてみたところ、Jaiswal氏の回答は、「業界のビジネスモデルを変えたい」というものだった。「今日のビジネスユーザーは知識が多く、問題を解決するソリューションを探すことができる。そして、それを使うのに1年待てない」とJaiswal氏。

 彼らのニーズを満たしつつ、同時にSAPが伝統的にやり取りしてきたCIOには”SAPブランド”の安心感、信頼を与えることができる、とJaiswal氏。小規模なチームがSapstore.comでソリューションを購入後、それをCIOに推奨したところ、全社導入することになるパターンも出てきているとのことだ。

 社内はどうか。これまでと販売方法が変わるのであれば、製品側も開発や設計段階から変わる必要がありそうだ。実はJaiswal氏らSAP Digitalがローンチ時に課題になると感じていたのは、社内の対応や受け入れだった。「社内で積極的にプッシュしていかなければならないだろうと予想していた。ところが、実際は新しいビジネスモデルがあることを知ってもらうのはとても簡単だった」とJaiswal氏。

 むしろ引き合いが多く、メインの提供方法としてSAP Digitalチャネルでやっていこうというチームも出てきているという。「Dropboxなどのコンシューマークラウド製品はデジタルだけで、営業なしに販売されている。(エンドユーザーから)これらの製品と同じように扱ってもらえるという製品チームが多く、この動きを我々も積極的に利用していく」(Jaiswal氏)。

 なお、SAP Storeではなんでもオンライン直販するのではなく、クレジットカードで購入するような価格帯かどうか、購入から15分ぐらいでプロビジョニングして使用できるか、個人ユーザーにも訴求するか、デジタルネイティブな要素があるかどうかなどの評価ポイントがあり、基準を満たす製品のみをリストしているとのことだ。「価格帯は10ユーロから2万ユーロまであるが、2ケタ、3ケタ(ユーロ)にギリギリ達するかの価格帯のものが一番多く購入されている」とのこと。

 年間200億ユーロを売り上げるSAPにとって、SAP Digitalが売り上げに貢献する比率はまだまだ低い。だが、Jaiswal氏らは長期的な見通しを持っている。「われわれはボリュームビジネスだ。これまでのSAPなら100万ユーロの取引を10件だったが、10ドルの取引を100万件と思っている。マインドセットのシフトが必要で、すぐに達成できるものではない。だが、すでにSAPに新しい価値をもたらしている」とJaiswal氏は自信を見せた。

 ソフトウェアではOracle、MicrosoftといったSAPの競合も、SAP Digitalのような新しい購入モデルの開発を進めているが、クラウド時代に合わせた課金モデルはハードウェア側でも起こっている。Hewlett Packard Enterprise、Dell Technologiesなどのハードウェアベンダーは自社ハードウェアで使った分を払うモデルの導入を進めている。

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