「あのマイクロソフトが」ということで、Windows Phone OSはまだirrelevantなものと見なされていない印象だが、それでも市場シェアで見れば5%以下。しかも挽回の期待を託したノキアとの関係では、まだちぐはぐなところが目立っている(Lumia 900の米国市場でのローンチや、Lumiaの現行モデルがWindows Phone 8のアップグレードの対象外になった、など)。
そうしたことも考え合わせると、マイクロソフトがタブレット端末に関して、いまの段階で「見切り発車」的に発表に踏み切ったという可能性ががぜん高まってくるようにも思えてしまう。そうしてまた、マイクロソフトが意識せざるを得ない最大の脅威はやはりアップル(iPad)であるけれど、同時に当面の標的はグーグル——まだ追いかける背中が見えている、十分射程距離内にあるグーグルのタブレットではないか、という思いも浮かんでいる。
Xboxという最大の武器
マイクロソフトがいま守らなくてはならないのは「金城湯池」「金の卵を生む雌鳥」と言われたWindowsとOfficeの事業であり、この防御のための反撃に使える最大の武器は「Xbox」だ。インストール台数約6700万台のメディアターミナル(もはや単なるゲーム端末にとどまらない存在)、ならびにそのXbox(経由のテレビ画面)とSurface、Windows Phone、PCをつなぐ先ごろ発表された「SmartGlass」という技術であろう。
またしても長くなってしまったので、このあたりの詳しい話は次の原稿に譲りたいが、「エンターテイメント用のコンソールの話と、仕事につかう目的のパソコンの話をいっしょくたにするなぞ、議論が乱暴すぎる」と思われる方がいらっしゃるかもしれない。
しかし、2010年はじめの発表前には「iPod touchの大型版」くらいにしか思われていなかったiPadに、「ポストPC」時代のテクノロジー企業を標榜するアップルが、はじめから「Numbers」や「Keynote」を仕込んできていたこと、あるいはすでに航空業界や医療の分野では(サードパーティーが牽引する形で)iPadのビジネス利用が進んでいることを考えれば、この乱暴な議論の線もあながちないわけではないという気がしているのだが。
次回は、よく「BYOD」といわれるコンシューマー向け機器の職場浸透、そして前述のグルーバー氏やガッセ氏がそろって引用していたホレス・デディウ(Horace Dediu)の解説を(ようやく)採り上げる。
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