小売業界の破壊と変革

レガシーシステムに固執しない--デジタル変革へのステップ - (page 2)

福田壮

2016-11-17 07:00

(3)戦略的投資という発想への転換

 デジタル化を進めるためには、追加のIT投資を避けることはできない。新しいテクノロジの見極め(Proof of Concept)や導入、既存システムの改修には時間もコストもかかるだろう。小売業は追加のIT投資に消極的となるのではなく、デジタル化に向けたIT予算の再配分を検討すべきである。

 そのためには、デジタル化によるリターンを正確に見極めるとともに、デジタル化に必要な戦略的投資を捻出するためのITコスト削減施策(クラウド化、オペレーションのオフショア化など)を同時に検討し、実行すべきである。

(4)イノベーションラボの活用

 デジタルデバイスやセンサ技術などのテクノロジや、それらを活用する消費者行動は近年劇的に進化しており、小売業はこのような状況に対応し続けなければならない。

 米国のWalmartでは、デザイナーやサイエンティスト、エンジニアなどさまざまなスキルをもったチームを形成し、コンシューマ向けアプリから、新商品・新サービスの開発、オペレーション変革やビジネスモデル変革にむけたアイデアの創出や実験などを担うラボ機能を有し、日々進化する消費者のニーズに継続的に対応している。

 今後は、テクノロジおよび消費者の進歩に対応していくためにも、このようなイノベーション専門機能を設け、デジタル化に向けたコア組織として活用していくことも有効な手段だ。

ポイント2:インフラにイノベーションを

 システムインフラストラクチャ(システムインフラ)は、デジタル化を進めていく上でのボトルネックとなることが多い。デジタル化に成功している企業の大半は、売上向上と、コスト削減を同時に実現する柔軟なシステムインフラを整備している。昨今の、デジタルデバイスの爆発的な普及によるシステム接続性やデータ膨大化に対する柔軟性・スピードを確保していくためにも、システムインフラの変革に注力することは、小売業の変革において重要だ。

 クラウドの導入は、迅速にイノベーションを実現する上で1つの武器となる。例えば、新規にECサイトを立ち上げる際、今までシステムインフラ構築に数週間~数カ月間を要していたものが、クラウドの活用により数日間で立ち上げが可能になった。

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