先週「デルが投資家から自社株を買い戻して上場廃止する」という可能性が突如として表面化した。
1月22日(米国時間)には「この取引にマイクロソフトが一枚噛むことになりそうだ」という話を複数のビジネスメディアが報じてもいる。
このビデオには「マイクロソフトとしては、パートナーのデルを支える必要がある」「いっしょにWindowsタブレットを売りこまないといけない」という競争上の理由や動機付けの説明があるが、このあたりは各メディアが報じているので割愛。
その代わり、今回はマイクロソフトの資金の出所がどこになるかという方に話の目を向けよう。
デルのLBO(Leveraged Buyout)に関連して「マイクロソフトがデル株式の買収(引き受け)に、米国外で寝かせている資金を充てることになるか」どうか、というのがポイントだ。
デルのLBOは防御的な動き
本題に入る前に、今回のデルの動きを簡単におさらいしておきたい。
デルのLBOもマイクロソフトの資金援助の話も、それ自体はどちらかというと「防御的な動き」という印象だ。
株価が低迷し、それに伴って企業価値全体に占める現金資産の比重が高まったことから、このままでは買収の標的にされかねないとみたデルの経営陣。とくにいまでも16%弱の株式を保有する創業者 兼 CEOのマイケル・デルが、「そんなことならいっそ上場廃止しちゃえば」と考え、株式買い戻しのための資金の工面を大手のPEファーム(そのむかし「LBOファーム」などと呼ばれた類)数社に相談を持ちかけた——。
Bloombergのレポートに、そうした背景の説明とグラフが載っている。このグラフをみると、デルの現金・短期証券が時価総額全体に占める割合はここ8カ月ほど50%を超えたままであることがわかる。
デルの株価の推移(出典:Google Finance)
いっぽう、この話を聞きつけたマイクロソフトが、デルやPEファンドのシルバーレイク・パートナーズに「こっちは出せる資金があるから(一口乗らせろ……)」と申し出た——ざっくりというと、そんな感じの流れらしい。
もっとも打診がどちらから先にあったかなどの詳細は定かでない。「条件さえ折り合えば、今後一週間以内にも(契約成立)発表か」などとあるから、経緯は早晩明らかになるかとも思われる。
なお、シルバーレイク・パートナーズというと、マイクロソフトのスカイプ買収で大儲けした株主のひとつ。同社がスカイプに投じた10億ドルの資金は、この取引で3倍になって返ってきたという。また一昨年秋には、当時ゴタゴタしていた米ヤフーに対して買収を提案したが、この時にもマイクロソフトが買収資金の一部を負担するという話が進んでいたとされる。
少し話がそれたが、おさらいはここまで。本題に入っていこう。