社内システムのクラウド化
そこで、2020年度までに約640の社内システムをクラウドに移行する。クラウド活用のリファレンスモデルを作り上げ、そのノウハウを横展開するためだ。K5の開発を担当したデジタルビジネスプラットフォーム事業本部の中村記章副本部長は「SEのナレッジを搭載したPaaS」などとK5の特長を説明し、基幹システムへの適用も視野にあるという。
在庫管理、受発注管理など業種特有の部品やサービスのテンプレートを揃える。Windows、Linuxなどに加えて、1年後にはUNIX対応も図る模様だ。「料金はプライスリーダーと同等か安くし、導入のハードルを下げた」(中村副本部長)。AWSを意識した料金体系にした。
社内システムのクラウド化を推進する一方、デジタルビジネスを成功に導くエコシステム作りに取り組む。現在(15年9月時点)、ユーザー企業らと「顧客分析/マーケティング」や「交通情報/災害対策」「商品のトレーサビリティ」「工場の見える化」などの分野で、約300件の実証実験や検証などを行っている。
オリックスや増田採種場と協業する静岡県磐田市のスマートアグリカルチャー事業、金融機関やITベンチャーなどが参加する金融にITを融合するFinTechコンソーシアムの設立、など業界横断の展開も始めている。商品面では、モバイル用アプリケーションの開発に適したモバイル活用基盤やIoTに特化したIoTデータ活用基盤も用意する。機械学習などの機能を取り込む計画も進めている。
こうしたデジタル化を支える商品とサービスが、企業の新しいビジネスの創出と成長につながる。それが、新しいIT企業に求められている。