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もしベトナムで病気になったら--ベトナムの医療事情 - (page 2)

古川浩規(インフォクラスター)

2014-08-31 07:00

地元系病院での受診は不可能か?

 ベトナムでは、軍系列の病院などの特別な医療施設では比較的高度な医療技術を持っているようですが、外国人が利用することはできません。そのため、上記の外資系病院以外となると、地元の公立総合病院や個人クリニックといった施設を使うことになります。

 公立病院での医療レベル向上に関する取り組み例としては、ハノイの国立バックマイ病院が北部ベトナムの、フエの国立フエ中央病院が中部ベトナムの、ホーチミンの国立チョーライ病院が南部ベトナムの拠点病院として、JICA((独)国際協力機構)から総合病院支援プロジェクトによる支援を長年受けてきています。

 そのためこれらの病院は、他の国立病院と比較しても重要な位置付けとなっており、傘下の省レベル病院に対しても指導的な役割を担っています。

 しかし、ベトナムではこれらの国立病院のように、地域の拠点病院として機能することができる病院の数が十分ではありません。また、より身近な病院として郡レベルの病院やコミューンレベル病院がありますが、これらの病院に対するベトナム人の信頼度は高くなく、実績がある拠点病院にどうしても患者が集中する傾向があるようです。

 さらに、都市部を離れた農村部においては、伝統医療や民間医療に頼った初期治療を行ってしまい、十分な初期医療を受けることができないということがあります。結果として、がんや糖尿病といった病気が進行してしまい、より高度な医療措置のために都市部の拠点病院に人が集まるといった事例もあるようです。


ある都市の拠点病院での一コマ。ベトナムでは入院患者のケアは患者の家族の仕事。そのため、各病室や通路が泊まり込んで世話をする患者の家族でいっぱいになることも珍しい光景ではない

 これらの拠点病院を、財団法人日本・ベトナム文化交流協会の医療支援プロジェクトの関係で訪問することがあります。病院では、「ベッド占有率200%(2人で1台のベッドを共有)」「医師やコメディカルスタッフの不足」「毎月2000人を超える救急患者の来訪」といった事実を次々と聞かされますます。こうした現状は、同行する日本人医師から、「日本では救急医療体制が崩壊するレベル」「日本では入院する患者の家族が疲弊しきってしまうレベル」と指摘されるほどのレベルでもあります。

 日本人医師からは「この現状の中で、ベトナム人医師やコメディカルは、本当によくやっている」と称賛の声が上がりますが、受診する日本人の視点で見ると、高度医療設備やスタッフの数と質については、期待ができるものではないと感じられます。


ある都市の拠点病院での一コマ。日本の病院と比較して、空間設計にはゆとりがある。一方、十分な数の医療用設備を導入できないため、院内には使われないままとなっているスペースも多く存在する

 そのため、加入されている医療支援サービスの指定病院であったり、英語よりもベトナム語の方が得意で何があっても大丈夫だといった場合ではない限り、一般的には地元系病院を利用することは難しいと思います。

 特に個人クリニックのレベルでは、「前の人が使った器具を消毒せずに、そのまま口の中に入れられた」という歯医者さんの話を聞いたりすることもあります。そのため、地元の病院にかかる際には、信頼できる現地人から十分に情報を仕入れておくことが重要になります。

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